商品詳細：フランスのMONDIODISレーベルは非常に入荷の少ないマイナーレーベルだが、Pathé社にプレスを委託して質の良いレコードを制作していた事実が過去の入荷から判明している。ただ当箱のリブレットにはオーストリアのBelvedereレーベルが持つStudio Polymnia Wienで行った1969年の録音と記載があり、当然Belvedereからも発売(BEL 1111-2)されている。録音したスタジオの関係上、Belvedereがオリジナル(音源の権利を所持している)と考えるのが自然だが、フランス人ピアニストが弾くルーセルのピアノ作品全集という趣旨のため、スタジオ備え付けのベーゼンドルファー目当てで出張録音した、あるいは最初から共同製作だったという可能性もある。いずれにしても独DGGプレスのBelvedereに対してMONDIODISは仏Pathéプレスなので、MONDIODIS盤は「フランス・オリジナル」と考えれば良い。レーベル同様にピアニストのジャン・ボゲ(Jean Boguet)も相当マイナーな人物で、1957年にPathéでドビュッシー:「映像」第一集を録音(45ED 91)している以外では「フランソワの様にコルトー、ロンの両氏から学んだ」「1967年ローマ大賞受賞者のミシェル・ラトーを指導していた」「ディジョンでオルガン奏者をしていた」という、今では真偽の確認のしようもない情報しかない。とはいえ、詳しい経歴が不明でも演奏を聴けば相当の実力者である事は即座にお分かりいただけるだろう。フランスの場合は音楽家の名声は重要視しなくて良い。マイナーレーベルだけで流通した名盤や、そもそも録音嫌いの音楽家がいたり、知名度の低さと実力が反比例しているかの様な凄腕がゴロゴロしていたのが20世紀後半のフランスである。当箱もそんな隠れた名録音の一つ。古典を踏襲しつつも、いつもどこか硬質な印象をまとうルーセルのピアノ作品の真価を知ろうとする時、指標になる録音と捉えて間違いないだろう。

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