商品コード:1383-059[COLUMBIA] S.フランソワ(pf) / ラヴェル: クープランの墓(全6曲) , 夜のガスパール(全3曲)
商品コード: 1383-059
商品詳細:サンソン・フランソワ( 1924-1970)、フランス人に愛されたピアニスト。フランス人の両親の下、1924年独・フランクフルトに生まれる。エコール・ノルマル、パリ音楽院と学び、M.ロン、ルフェビュールに師事。1943年第1回ロン・ティボー・コンクールの優勝者。1970年ドビュッシーの全曲録音の途中、46歳で没。演奏スタイルは、晩年に近づくにつれて、より個性的になった。真の芸術家タイプ。19世紀的なスタイルを'60年代に残し続けたが、酒で命を落とした。彼のショパンには天才の閃きが散りばめられている。即興性も感じられ、自然ながら独創性に満ちている。演奏の歴史を見てもここまでしっかりと伝統的な手法を行いつつ個性を展開するスタイルは他になく天才の域なのだろう。テンポは自在に操るが聴いている方はさほど違和感を感じないという不思議な現象で、普段乗り物酔いに敏感な方がある運転手の時だけ全く問題が起こらないという現象に似ている。勿論ロマンチックであるが必ずしもフランソワの聴かせてやろうとする意図ではなさそうである。感じるままに弾いたら結果的にそうなったにすぎない。だがら大衆的人気の大きなピアニストとは逆のことを平気でやってのける。サビの部分をそっけなくすっ飛ばす。Bメロに対して異常なほどの愛着を寄せるなど、気分が優先する彼独自の感覚の世界に引きずり込まれる。何が起こるか先が読めない面白さ、楽しさこそフランソワが愛される秘密と感じる。一度じっくり聴き終わってもなぜか思い出せない、反復できない。その悔しさ、してやられた感覚こそが彼の持ち味だろう。フランソワを一言で言うなら「デカダンス」という言葉がぴったりくる。しかし決して嫌味ではない愛すべき不健康さが感じられる。しかも意外性、想定外の展開などはフランソワにしかできない世界感!フランソワは特に「自分の感性に合うレパートリー」に集中する傾向が強かった。ラヴェルは彼の個性と完全に重なった領域であった。ドビュッシーよりもさらに「構築的で機械仕掛け的」なラヴェルを自身の感性に重ねて、機械仕掛性を敢えて柔らかく歌わせることでラヴェルへの親和と挑戦の両方を成し遂げた。一般に端正なラヴェル解釈において、敢えて柔らかく華麗さを強調している。直線的、硬直的になりがちなラヴェルに対し敢えてロマン的な解釈を提示した事で冷徹さを避けた人間ラヴェルを表現したと言える。特に初期モノラル録音であるこの2曲は特別に詩情と冷徹さの間を行き来するラヴェル本人を描き出す優れた演奏である。ラヴェル演奏をこの領域にまで高めたピアニストは多くない。晩年愛弟子であるJ.フェブリエがADESに残した全曲録音と比較すれば、フランソワがいかにロマン的であるかが理解される。またフランソワ自身の3枚組の全集録音と比較しても、この2曲のアプローチはラヴェルの演奏史に刻まれるべき特別な録音といえる。
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