商品コード:1382-061b[COLUMBIA] S.フランソワ(pf)/ ショパン:Pf協奏曲1番Op.11, リスト:Pf協奏曲1番
商品コード: 1382-061b
商品詳細:1954年、最初のモノラル録音でステレオは存在しない。M.ロン最後の生徒であるフランソワは、19世紀的な芸術家と言えよう。勤勉な音楽家ではなく、ムラ気のある天才肌。彼の録音は年を重ねるほどに自由度が増した。この録音は指揮者の圧力でもあったのか、後の録音より型に嵌っている印象だが、エネルギーの集中度は最も高い。 リストのピアノ協奏曲第2番は1960年6月13-14日コンスタンティン・シルヴェストリ指揮フィルハーモニア管弦楽団と録音している。 ショパンのピアノ協奏曲第2番はパウル・クレツキ指揮フランス国立放送管弦楽団と1958年6月23-24日に録音している。ショパンは2曲ともステレオで再録音している。このモノラル期のフランソワは1970年前後に見られるフランソワ節と称される一種異様なデカダンスを放つ独自の世界感は出ていない。まだまだパリ音楽院スタイルを基本に持ち、そこに少しのけだるい雰囲気を足した程度のまだまだ優等生的ピアニズムで演奏している。マルグリット・ロンから叩き込まれた基本をしっかり身にまとったスタイルである。1924年生まれのフランソワはこの録音時まだ30歳であった。それでも旋律の輪郭には独自の即時性と自発性の両方があり、情熱的なリリシズムはこの時期でもタップリと聴く者にインスピレーションを与えてくれるピアニストである。しかし1960年代中期頃からナイト・クラブの常連となり過度な酒と煙草に溺れるようになり、それが体を蝕んでいくにしたがって演奏スタイルにも変化が出始める。後期の華麗でありつつも毒気の感じられる陰気なオーラは健康と引き換えに獲得した特徴である事を知る必要がある。ファンは通常の音楽家が持たない特別なものに価値を見出すが、それがカタストロフに向かう性質のものと知るべきだろう。誰しも健康で長生きしたいはずである。だからフランソワの晩年のスタイルは真似出来ないのである。命を賭して得た何かをありがたがることは決して褒められたことではない。そういう意味で1954年のモノラル録音にはフランソワの健康的な美質がタップリと出ている。良き録音といえる。
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