商品コード:1364-054[DECCA] C.カーゾン(pf) / 「リスト・リサイタル」
商品コード: 1364-054
商品詳細:クリフォード・カーゾン(1907- 1982)は「ペルシャの市場にて」で知られるイギリスの作曲家アルバート・ケテルビーの甥としてロンドンに生まれた、数少ない英国人ピアニスト。シュナーベルのもとで研鑽を積み、1939年のアメリカ・デビューで大成功を収めた。特にモーツァルトの協奏曲は有名。ピアニストとしては唯一"サー"の称号を与えられている。1941年からDECCAに録音があり長期に亘って英国のピアノ界の屋台骨を支えたピアニストである。1928年から30年にかけてベルリンでA.シュナーベルに学んでいる。1949年G.セルとの「皇帝」協奏曲や1950年のチャイコフスキー協奏曲1番はDECCAに入れたモノラル初期録音として近年注目されている。ステレオ最初期のクナッパーツブッシュと入れた「皇帝」協奏曲もオーディオファイルLPとして根強い人気を誇っている。レコード録音は演奏家の良し悪しの聴衆の判断基準となるべきではないと語り続け、最後まで持論を押し通した為に、残された正規録音は著名度の割に非常に少ないと言われている。しかし実際には録音は結構な数があり、ミケランジェリのように極端な偏りがあるわけではない。英国紳士らしい地味なスタイルではあるが、音楽性は非常に高いのが特徴である。人を驚かせる演奏は基本ない。しかし聴き終わった後にじわじわと感じる本物の音楽に触れた満足感は大きい。音色は常に濁りのない透明度を保ち、繊細で丁寧な表現から逸脱しない冷静さに支えられている。もし英国スタイルなるものが認められるならば、是非ともカーゾンをその代表としたい。 この録音ではプロデューサーのジョン・カルショウが自ら担当している。ピアノ・ソロ録音に関してあまり興味を持たなかったオペラ好きのプロデューサーにしては大変珍しいことである。1950年代後期に大物器楽奏者たちがカルショウに反発してDECCAを去っていった苦い過去を思い出していたのだろうか。カーゾンにはずっと居てほしかったと推測できる。同じ英国人として二人は特別な信頼で結ばれていたのだろう。カーゾンの「リスト・リサイタル」は唯一のリスト録音である。モーツァルトやシューベルトの解釈では著名な存在であった。何方かと言えば地味で堅実なカーゾンもこの曲にはのめり込んだようだ。このスタジオ録音ではそこまで前のめりな印象はないが、それでも、穏健な英国紳士とは思えない入れ込んだ演奏である。名演と呼んで相応しいと思われる非常にアグレッシヴな演奏に間違いない。それにも関わらず全くうるささを感じさせないのが不思議。音質はモノラルでも勿論良い。
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