商品コード:1343-057[ARION] J.W.オードリ指揮 長沼百合子(vn) / ヤナーチェク:弦楽のための組曲(全6曲), 弦楽のための牧歌(全7曲)
商品コード: 1343-057
商品詳細:ヤナーチェク(1854-1928)の管弦楽作品はあまり録音機会のない曲ばかりでここではそんな珍しいヤナーチェクの管弦楽を2曲収録している。A面の「弦楽のための組曲」は1877年の23歳の時の作品。B面の「弦楽のための牧歌」も含めあまり録音されることはない。ARIONというレーベル自体がそのような発掘作品の録音に熱心なレーベルである。聴いてみると意外にも美しい弦楽合奏である。ヤナーチェクは、モラヴィア(現在のチェコ東部)出身であり、モラヴィア地方の民族音楽研究から生み出された発話旋律または旋律曲線と呼ばれる旋律を着想の材料とし多くの作品を残した。チェコの音楽学者ヴィスロウジルは、ヤナーチェクの作品に「モラヴィアのフォークロア(民俗音楽)を活用し、あるいは摂取して、地方性を強く芸術作品に表出しようとする動き」と濃厚なモラヴィアの地方色があるとしている。ヤナーチェクは「民俗音楽と芸術音楽は一つの管で繋がっているようなものである」と考えた。ヤナーチェクは民謡を直接引用するのではなく、その構造を科学的に分析して独自の「語法」を会得しようとした。現在のチェコはスメタナやドヴォルザークの生まれたボヘミア(西部)とヤナーチェクの生まれたモラヴィア(東部)という歴史的地域から成り立つ。両者の文化的隔たりは大きい。ヤナーチェクはチェコの音楽史において、モラヴィアの音楽の代表者である。日本人には理解が難しいが、ドヴォルザークはチェコ音楽の片面である。日本に限らず世界的にボヘミア系作品がチェコ音楽であるような紹介をされてきた。そこに一石を投じたARIONレーベルの見識は流石といえる。B面の「弦楽のための牧歌」もヤナーチェクが24歳の年に作られた若書き作品。晩年の名作とは違った味わいがある。夏季休暇にバイエルン・エッティンゲンへ旅行した経験が反映され、「夏の心地よい雰囲気」を反映している作品らしい。何方もモラヴィアの地方色が濃厚であるとされ、新しいジャンルとしてのモラヴィア作品、モラヴィアの音楽文化を知る上でこれ以上のLPは無いといえる。演奏は何方も感心するほど穏やかで美しい。ジャン=ワルター・オードリ Ens.は指揮者・ヴァイオリン奏者のジャン=ワルター・オードリがパリで創設した室内楽アンサンブル。メンバーは全員パリ高等音楽院の卒業生である。このオケのコンマスには日本人ヴァイオリン奏者の長沼由里子(1957-東京生まれ)が務める。パリ在住で多くの国際コンクールで入賞した実力を持つ。フランス的感性で演奏されるヤナーチェクの曲はどこまでも美しく演奏され、興味は尽きない。このLPは特に大推薦!
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