[DECCA] A.アルヘンタ指揮スイス・ロマンドo. / チャイコフスキー:交響曲4番Op.36
商品コード: 1290-057
商品詳細:滅多に入荷のないアルヘンタのチャイコ4番。STEREOはB.B.B.ジャケット入りが初出だが滅多にあるものではない。ED1レーベルならその音響の凄さはアンセルメやマルティノンを凌ぐ程。DE1盤から出る再生音はSXLの中でもトップレベルだろう(勿論音楽再生として)。ムラヴィンスキーやクレンペラーとはその発想がかなり異なり、全体を通して硬質なクリスタルを思わせるガラスのように、見通しの良いソリッドな表情が一つの極みを物語る。SXLでしかあり得ないスタイル。寒々とした空気が吹いてきそうだ。B.B.B.ジャケット入りED1は一時8万円を超えた価格だった。アタウルフォ・アルヘンタ(1913-1958)は1958年1月44歳の若さで一酸化炭素中毒による不慮の死を遂げた。31歳で夭折した天才指揮者としてアルヘンタの人気は下がる気配はない。晩年はLe Club Français Du Disqueへ数点の録音を行ったがなんといってもアルヘンタの名前が知られるきっかけはDECCA録音である。これは1955年スイス・ロマンドo.を振った初期録音。オケの限界を試さずとも、ここまでクオリティの高い演奏を可能にしている点でやはりアルヘンタは天才型の指揮者だったと言えよう!あと10年生きていればレコード地図は大きく変わったことだろう。42歳の時の録音。アルヘンタは40歳を超えた時期に大病を患い、キャリアを一事断念せざるを得なくなったことがあるらしい。無理をしないスタイルが定着したようである。しかしこの録音ではなかなか燃えた演奏になっている。スイスロマンドo.の主であるアンセルメの指揮より情熱系かもしれないが爆演ではない。4番という曲は大人しく演奏しても面白味がない曲である。しかしムラヴィンスキーのような爆演ではない。その代わり内声部は非常に繊細で見通しが良く、団子になっていない。力任せの大きな音でごまかしていないのである。そのあたりにアルヘンタの上手さがある。細部が非常に鮮明であり、爆演をせずともエネルギー感は伝わる演奏である。スイス・ロマンドo.というオケ自体アンセルメに鍛えられた繊細な統率がある。アルヘンタの意図を的確に表現できる反応の良い優れたオケである。良い意味ですっきりした品の良いチャイコフスキーである。DECCAのプロデュサーだったカルショウはその著書の中でこう述べている「アルヘンタは実力がありながらそれを十分に発揮しきれずにキャリアを終えてしまった」。DECCAのレコードからこれを完全に鵜呑みには出来ないが、少なくとも才能豊かな指揮者であったことは確かである。
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